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はなまるクリニック

はなまる便り
2020年02月21日(金)
 カラダと病気のはなし-3  ヒートショック

みなさんこんにちは。はなまるクリニックの高橋です。
「カラダと病気のはなし」も3回目となります。
今年は暖冬だと言っても、やはり2月の朝夕は冷え込みますねー。
そんな時、我々にとって、「湯につかる・入浴する」ことは日々の疲れを癒したり、気持ちをリフレッシュさせてくれるかけがえのない生活習慣といえます。
一方で、この季節は入浴中の心肺停止など風呂場・脱衣所で命に関わる事故が起きることも見逃せません。

急激な室温変化に我々の血圧は敏感に反応します。たとえば寒い脱衣所では、血圧は上昇し、高温の湯船に浸かればさらに血圧は上昇し、心筋梗塞や脳心血管障害(脳出血や脳梗塞など)を引き起こすこともあります。逆に40℃前後のお湯に長くつかっていたりすると血管が拡張することにより血圧は徐々に低下し時として、眩暈や失神を起こして湯船で溺れてしまうことも報告されます。こうした室温変化による血圧の乱高下により心臓や脳の異常をきたすことを「ヒートショック」と呼びます。
2013年に報告された東京都老人医療センターの高橋龍太郎医師等による研究調査では、風呂場で心肺停止となり搬送される件数は年間9360件もあり、全国規模に換算すると約12000人の方が救急搬送されることになります。年間の交通事故件数の約4倍も多いことになるのですよ。季節性の検討でも、やはり冬は夏に比べ10倍近くヒートショックの発症率があり、年齢別では65歳から頻度が上がり、80歳前後でピークになると報告されます。やはり高齢者の方が要注意なんですね1。もちろん、降圧剤を必要とする高血圧や糖尿病、脂質異常症など、いわゆる生活習慣病を罹患していると動脈硬化による血管病変のリスクがありヒートショックの発症にはより注意が必要とされます2
では、ヒートショックを回避するにはどのようなことに留意すればいいのでしょう?
2016年の北村等による論文では、ヒートショックの対策として風呂場や脱衣所の温度は17℃以上で、湯温は41℃以下、さらには入出浴による収縮期血圧変動幅が±10 mmHg以内が望ましいと報告されます3。加えて先の高橋氏の調査結果の中でも都道府県別で見ると沖縄と北海道の発生頻度が圧倒的に低いことがわかりました。北海道が沖縄と同じなのは他の都道府県と比較して風呂場・脱衣所の室温が高かったことが要因のひとつとして考察されています。

以上より、冬場のヒートショックの対策としては
1.浴室、脱衣所の室温を高くする(20℃以上)2
小型暖房機や簀の子、マットの使用、シャワーで湯をため浴室温度を上げる、入浴前に風呂の蓋を開ける、など
2.湯温は38 - 42℃、入浴時間は5 -10分が目安2

寒い季節に安心して気持ちよく湯船に浸かりたいものですね。降圧剤を内服中のご家族が入浴をされる場合はより見守りの意識を持つことが重要です。

1.高橋龍太郎等. 2013年 我が国における入浴中心肺停止状態(CPA)発生の実態
2.高血圧ガイドライン 2014
3.北村恵理奈等. 2016年 居住者視点によるヒートショック対策の検討